2010年11月9日火曜日

通りすがりの友情

芝が生い茂っている庭を草刈りしている休日の出来。

ゴルフのスイングや外から内に入ってくる低めのカーブをサバくかのように









のんびり草刈りしていると通りすがりの兄ちゃんが声をかけてきた。



「手伝おうか?」


オレは別にしんどくなかったけどなんか兄ちゃんがやりたかったみたいやったから任せることに。


いや人間芝刈り機ってこのことやで!

俺がやったら1日かかりそうなところを10分くらいで片づけてしまった。


彼の名はダグラス。




どうやら俺のご近所さんにあいさつしにモンバサ(海側の街でナイロビから8時間のとこ)から上がってきたそうだ。


しかもキスム(ナイロビから6時間くらいのモンバサとは反対側の大きな街)に行くお金がないからとりあえずモンバサに嫁さんと子供を置いてきてナイロビに資金調達をしに来たらしい。



そんな話をしながら、彼は自分のことを俺に話してくれた。


実は彼は何年か前に俺の今の職場である、更生学校出ているらしい。


そして、「オレの夢は日本に行くことなんだ!」とも。


日本は世界にたくさんのすぐれた機械を送り出しているモノづくりの国であるからと。


で、日本の技術を勉強したいんだそう。


嫁と子供のバス代すらままならない彼が日本にいけるのは何年先だろうか。


ただ、彼は自分の今の状況を真摯に受けとめ、自分のすべきことをまじめにやっていた。


そして何よりも他人を思えるやつだった。


自分だけが良ければいいという行動が顕著に表れるケニア人を何人も見てきただけにとても新鮮で、なによりも嬉しかった。


この芝刈りが終わった後も、「ただ手伝いたかっただけ」、「お金なんていらない」と言ってきた。


それでも、オレはやられっぱなしはいやだからお礼に20シル(15円)くらいのピーナッツをあげた。


彼はこれからキスムで細々と商売を始めるようであったが、ぜひキスムに行ったときには彼に会いたいと思って、電話番号を聞いた。


彼が困ったときには何かしてあげたい。力になりたい。


そしてそう思わせるオーラが彼から出ていた。


やっぱり人間裸一貫の付き合いってええもんですな!


こういう友情は本当に大事にしていきたいとそう思った日であった。




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Japan Overseas Cooperative Volunteer

Masaru Kashiwagi

E-mail:masaru0724@gmail.com
Tel:(+254)712-752383

Getathuru Rehabilitation School
Reception and Discharge Centre
P.O.BOX 23051-00604
Lower-Kabete, Nairobi, KENYA
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2010年11月6日土曜日

切り絵

任地に赴任してもう少しで半年!


スワヒリ語もぼちぼち慣れ出してきた。


ただ不思議なもんで聞く気がなかったり、気持ちを込めてない時は全く聞けないし、話せない。


やっぱり言葉は手段であるけども、気持ちの込め方一つで大きく変わるな!また勉強や!



さてさて、オレは学校で子供たちからこう呼ばれます。


「ミスターまさる!」(なんか距離を感じるけども、悪くないなとも思ってる。)


「まさる!」(先生としてはどうかって感じやけど、オレはこれが一番好き!)


「チャイニーズ!」(新顔の子供たちが言う傾向有り。この場合、しっかり拳で教育。嘘です。丁寧に違うよと教えます。)


そして「Mwalimu wa P.E.(体育の先生)」。


基本的なオレの仕事は体育の授業です。


体育の時間で子供たちと関わることがもっとも多く、生徒たちの名前も授業で覚えることが多い。


しかしもちろん体育の授業だけでなく、他にも仕事がある。


それで最近、図画工作として日本から折り紙を持ってきたので「切り絵」の授業をやった。


テーマは動物。


みんなそれぞれ、自分の好きな動物を自分の好きな色で作っていく。

キンキラに輝くライオン。



ほぼすべての色を使ったであろう、カラフルな鳥。



これは何の動物?って聞いて・・・わからん!って言われるけどもなんやカッコいい生き物。




モノづくりっていうのもはホントに個性がめっちゃ出るからおもしろい!



この間、同僚と晩飯を食っていた時のこと、

ケニアはどこまで、何を勉強したかでその人の価値が決まるという。

実際、ケニアで管理職についてる、もしくはある程度の収入を得ている人は日本でいう修士や博士を持っている人である。

だからその同僚も、30歳を超えて、今でも学び続けている。


でもその学歴社会の色が濃いケニアではどうしても体育、美術、音楽などの実技科目、つまり情操教育が軽視されている。


自分で考えたことを表現する。自分を表現する機会があまりにも少ない気がする。もちろん、学校教育においての話ではあるが。


とまぁこれ以上話すとタイトルが変わってしまうのでまた今度!


ということで俺の仕事は少しでも子供たちにたくさんのことを経験させてあげることと自分を表現する機会を提供すること。


さて今度は何しょうかな!


ちなみにこれは俺が見本で作ったやつ。ある意味、俺の不器用さが表現されているよな!
いやしかし・・・ひどい。 笑

2010年11月3日水曜日

ウガリからの


なかなか忙しかった日々が続いた、10月後半。


同期隊員によるエイズ講座

ナイロビマラソン 42.195km 完走(5時間15分)

配属先のパンフレット作成業務手伝い

連夜の飲み会

などなど


なかなかしっかり子供らと関わる時間を取れずにいた。


それで、今日は久しぶりに子供らとゆっくり話することができた。


彼の名前はカゴロ。


日本の友達がケニアに来たら何食べさせてあげるべき?と俺が彼に質問したところから始まり、「ウガリ(ケニアの主食)とサマキ(魚)やな!」


キスムのサマキはおいしいよ!ウガリを右手に、サマキを左手に・・・もうたまらんよ!あっあとトリもええな!


など勢いよく話を始める。彼は話をするのが大好きなようである。


カゴロ「先生、ウガリの作り方知ってる?」


オレ「知ってるけど、まだ自分で作ったことないわ!」


カゴロ「じゃあ先生の友達が来たら作ったたらええやん!」


オレ「いや〜でもやっぱケニア人が作ったほうがええやろそこは!」


カゴロ「1回作ってみ!試してみないと!」


オレ「ん〜せやな!でもオレ学校で食べれるしな!」


カゴロ「いや、やってみなあかん!先生、知ってるだけやったらあかん!自分で作ってみないと!

    だって、先生ウガリ作ってるとこ見たことはあるかも知らんけど作ったことないんやろ!?ほんじゃあ作らなあかん!」


オレ「なんで?作れるよ!」



カゴロ「とりあえず、試してみなあかん!試してみたら、どれぐらいウガリの粉入れなあかんとか、水どれぐらいいるか、どれくらい混ぜるのかとかわかるやろ!


    ほんで、どこを間違ったかとか、ここをこうすればよくなるよとかわかるやん!」



オレ「お〜なるほどな!」



カゴロ「それからまたその間違ったとこをよくしていけばおいしいウガリがつくれるよ!ほんで友達においしいウガリを食べさせたらいいねん!」




とりあえずやってみないとわからない。やってみてから考える。反省してまたそれを生かして、さらに良くしていく。



まさか子供からこんな貴重なメッセージを、まさかウガリの作り方からこんな大事なことを学べると思ってなかった。



自分がケニアで活動している中でもっとも必要なことを子供から思い出させてもらった。



教師だからといって一方的な指導なんて考えられへんなと改めて感じた。


子供から学ぶってこういうことなんだろうと思う。


純粋な子供だからこそ感じることがいっぱいある。



シンプルだけど大事なこと。



大人になっていろんな体験して、いろんな知識ついていくけども、



大事にしていかなあかん、「根」の部分がある。



これを忘れてしまえば、ただの根なし草。しっかりした木も育たない。



オレはケニアのこの「根」を育てに来たんや。



それを思いださせてくれた、カゴロにありがとうを言いたい。



そして、まずオレの授業出に席しなさいとも。